新しい金融サービス kanmu CLO

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こんにちは。keisukeです。
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金融系のITエンジニアとして気になる記事がありました。
 
クレジットカード連動型クーポン「Kanmu CLO」がビッグビジネスの予感
一言で言うと、「クレジットカードの利用履歴を解析し、カード利用者がよく行くお店のクーポンを提案。会員は、クーポンを選択後にクレジットカードを使うだけで割引が受けられる、というサービスです。
 
サービスのイメージはこちら。

 
クレジットカードの利用者としては、自分の好きなお店のクーポンを提案してもらえるってところがメリット。
わざわざ一つ一つのお店の会員に登録する必要もないし、百貨店のクレジットカードを作成する必要もなし。
これだけでも十分なメリット。
 
加えて、クーポンを発行する加盟店にとっても、自分のお店が好きな人向けに販促できるため、効果的な販促を実現することが可能なようです。
クーポンって一見さん増やして一時的に売上が増加するだけだったりするので、そういうクーポンの無駄撃ちを削減できる、ってことですね。
あと、このサービスがよく考えられているなー、と思ったのは、クレジットカード会社のメリットまで考えていること。
このクーポンが利用された場合には、カード手数料に加えて、「送客手数料」も手にすることができるビジネスモデルになっているようです。
クーポンを利用するには、クレジットカードで決済する必要があるため、クレジットカード会員のカード利用額も増えると。
メリットばっかりのように見えます。
 
つまり、関係者全員が美味しいビジネスモデルのようです!
誰も損しないビジネスモデルってすばらしい。
でも、サービスに対する情報が少ないからだけなのかもしれませんが、いくつか不明点・疑問点があります。
 
①「クーポン」の目的自体が、そもそも常連客の来店率をあげることではなく、新規顧客の開拓だったりするので、「加盟店」は従来のクーポンと同じ考え方でクーポンを発行すると効果が薄れてしまう(下手すれば損する)、と思われます。常連客ってある程度ほっときゃきますからね。ほっといても来る人に必要以上に割引すると、売り上げがむしろ下がるだけになる可能性があります。
うーん、ほんとは、常連客になりそうな人を選択して、クーポンが発行できるシステムだと面白いかも。まあ、「常連客になりそうな人」をどうやって特定するのかが非常に難しいロジックなのでしょうが。。。
 
②金融機関のメリットとして、「紙明細からWeb明細への移行を促進するためコスト減」と記載されていたのですが、そもそも紙明細の作成って、クレジットカードの基幹システムの機能だったりするはずです。(自分が関わってるのがまさにその辺ですし。紙自体ではなく、そこに印字するデータを作成するのは基幹システムのはず。)
という点で、このサービスは、クレジットカードの基幹システムとの連動が必須になると思われます。
となってくると、相当信頼性が求められるシステムを構築する必要があります。紙明細も発送されていない、Web明細も表示されていない、というような自体が発生すると即法令違反ですよ。ええ。金融庁に怒られちゃいます。
③紙明細を出す出さないって、クレジットカードの基幹システムで制御している可能性があります。クレジットカード会社によっては、そこも外部に任せている可能性もありますが。基幹システムでその制御をしている場合は、このサービスを導入するために基幹システムにかなりの改修が発生する可能性があります。
「送客手数料」がいくらかなのかが不明ですが、このビジネスモデルだとそれなりの数のサービス利用者が発生しないと利益が発生しにくいように思えます。リスクを嫌うであろう金融機関がどの程度このサービスを理解してくれるのか。面白そうでは食いついてくれないのかもしれません。
 
と、サービスの説明を聞いたわけでもなく、ネットで拾った情報だけで勝手につらつらと記載してしまいました。リスクばっかりあげてしまって批判的に見えるかもしれませんが、サービスは面白いと思っているので是非応援したいサービスです!
クレジットカード業界って、ちょっと閉鎖的かつ衰退しているイメージがあるから、こういう新しいビジネスモデルが出てくるとよいですね。Paypalなんかもまさにそうですし。自分も金融業界に身を置く一員として、何か新しいビジネスモデルを考えてみたいです。